
妻から「モラハラで離婚したい」と言われてしまった方へ。
もしかしたら今この動画を見ているあなたも、自分の行動のどこがモラハラなんだろうと思っていらっしゃるかもしれません。
モラハラは気をつければ改善できる問題ではなく、根本的な人間観の歪みから生じています。
本記事では、なぜモラハラ発言をしてしまうのか、そしてどうすれば真の変化を遂げられるのかを、聖書の教えをもとに解説します。
心理学的アプローチでは届かない深い部分からの変革について、15年間500組以上の夫婦関係修復をサポートしてきた実践的な視点からお伝えします。
モラハラとは何か?
モラハラの定義と特徴
モラルハラスメント、略してモラハラは、殴る蹴るといった身体的な暴力ではなく、言葉や態度、もしくは無視といった行動によって、相手の人格や尊厳を傷つける精神的な暴力です。
この言葉は1998年に、フランスの精神科医であるマリー=フランス・イルゴイエンヌ氏が提唱したものです。
モラル(倫理や道徳)とハラスメント(嫌がらせ)という言葉を組み合わせて作られました。
日本の厚生労働省では、モラハラを「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけ、精神的に傷を負わせて、その人が職場を辞めざるを得ない状況に追い込むこと」と定義しています。
夫婦の関係において、モラハラを理由とした精神的な苦痛による離婚は、離婚理由の中で第3位となっています。
モラハラの2つの大きな特徴
第一の特徴は、目に見えにくいということです。
あざや傷が残る身体的な暴力とは異なり、心の傷は外から分からないために、問題が表面化しにくいという側面があります。
第二の特徴は、加害者に自覚がないことが多いということです。
「君のためを思って言っているんだよ」という形で、自分では良かれと思って言っていることが多いのです。
そのため、相手を傷つけているという認識がなく、「もう別れたい」「もう無理」と言われた時に初めて本人が気づくという状況が生じます。
厚生労働省の定義は職場のことを指していますが、モラハラは家庭や友人関係でも起こる可能性があります。
イルゴイエンヌ氏は、精神的な暴力は時として身体的な暴力以上に人を傷つけると指摘しています。
聖書から見るモラハラ
モラハラという言葉は最近出てきたものですが、2000年前から人の人格を否定するような発言は存在していました。
マタイの福音書5章22節にはこのようにあります。
「しかし、わたしはあなたがたに言います。兄弟に対して怒る者は、だれでもさばきを受けなければなりません。兄弟に「ばか者」と言う者は最高法院でさばかれます。「愚か者」と言う者は火の燃えるゲヘナに投げ込まれます。」
この暴言、人を「ばか者」や「愚か者」という人は、さばきを受けるということを、キリストは語っています。
モラハラとは、端的に言えば、人を人として扱わないということです。
モラハラで離婚したいと言われた方は、すでに奥さんから具体的に「この言葉で傷ついた」「このことが辛かった」「このことが嫌だった」ということを言われているはずです。
このように相手の人格を否定する、相手の人間としての尊厳を踏みにじる行動が、モラハラとなるのです。
2. なぜモラハラ発言をしてしまうのか?
心から出てくる言葉
こんなことをしてはいけないと分かっているのに言ってしまうということがあります。
多くの場合、自分も苦しいので相手を苦しめる、傷つける言葉を言ってしまうということになります。
マタイの福音書15章18節には、このように書かれています。
「しかし、口から出るものは心から出て来ます。それが人を汚すのです。」
相手を否定する言葉、相手の人格を踏みにじるような言葉は、口から出るものですが、心から出てくるのです。
それが人を汚すのだと聖書は教えています。
先ほどの言葉を借りれば「ばか者」や「愚か者」という言葉です。
妻を否定する、人格を否定するような言葉は心から出てくるということは、心の中で相手のことを尊いと思っていないということを意味します。
もっと言えば、人の価値を認めていないということなのです。
歪んだ人間観の問題
カウンセリング上の経験から申し上げると、モラハラ発言をする人たちの特徴として、非常に優秀な人が多いという傾向があります。
いわゆる有名大学を出て有名企業に勤めている方や、医師である方など、パフォーマンスが高い人が非常に多いのです。
こうした方々は「パフォーマンスが高い人間は価値がある。スペックが高い人間は価値がある。しかしスペックの低い人間は価値がない」という価値観を持っていることが多いのです。
何ができる、何ができないということで人の価値を測ってしまっているということになります。
そういう意味では、自分の価値も認めていないのです。
なぜなら、パフォーマンスが高い限り自分は価値があると考えているからです。
良い大学に入った、良い成績を取った、もしくは良い給料を稼いでいる、良い仕事についている、だから自分に価値があるわけです。
それがなければ自分には価値がなくなってしまうという恐怖心を、心の中でどこかで持っているのです。
自分の価値も認められず、そこから他の人の価値も認められないということになってきます。
一言で言えば、歪んだ人間観なのです。
人間を見る時に歪んだ視点で見ているということです。
この歪んだ人間観が人格を歪ませる、つまり心を歪ませます。
そしてその歪んだ心から、口から出るものが出てきますので、その歪んだ人間観をもとにした歪んだ心から、人の尊厳を損なう言葉が出てきてしまうのです。
モラハラは、気をつければ良いことではありません。
人間とは何なのかということが間違っているので、そこから出てきてしまうのです。
そこが治らなければ、モラハラは治らないのです。
3. どうしたらモラハラ体質を変えられるのか?
神の似姿に造られた人間
ヤコブの手紙3章9節を見てみましょう。
「私たちは、舌で、主であり父である方をほめたたえ、同じ舌で、神の似姿に造られた人間を呪います。」
主であり父である方をほめたたえるというのは、神様をほめたたえる、つまり神様を賛美するということです。
同じ舌で、神の似姿に造られた人間を呪っていると書かれています。
この人間を「呪う」ということ、これがモラハラなのです。
ここで重要なのは「神の似姿に造られた人間」という部分です。
人間は神様の似姿に造られたと聖書は教えています。
したがって、尊厳というものを人間は生まれながらにして持っているということなのです。
パフォーマンスは関係ありません。
障害を持って生まれてきて一言も話せない、全く動けない、そのような人間も神の姿、魂を持っているので尊いのです。
極端な言い方になりますが、そうであればパフォーマンスは関係ないのです。
人間の価値はパフォーマンスと全く関係なく、スペックと全く関係ありません。
人間は全ての人が神に造られているので、神の形に造られている心があるので尊いのです。
これが真実の人間観なのです。
価値観の転換がもたらす変化
私たちは神様を信じない世の中に生きていますので、人と自分を比べて自分が上だと、マウントを取って上の人間が下の人間を支配するような、こういう世界にいるわけです。
しかし、神様との縦の関係を考えると、人間の違いというのはもう「どんぐりの背比べ」なのです。
だけれどそのどんぐりは神様の似姿に造られているので、一人一人が尊いということです。
このように人間を見る目が変わると、人を貶めることができなくなってきます。
私も尊い人間であり、あなたも尊い人間なんだという見方に変わりますので、モラハラ発言ができないのです。
このように人間観、価値観、世界観が変わらなければ、モラハラは治りません。
しかし別の言い方をすれば、人間観が変わればモラハラはあっという間に治ります。
聖書の言葉は、この人間の価値観を変えるのです。
自分の価値を知ることから始まる変革
この動画をご覧になって、「なんか宗教的な話か」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
最初に聖書からという話をしていますので、そう思われた方はもうここまでご覧になっていないかもしれません。
しかし、人間の根本的な問題は、この縦の関係、神に造られた尊い私、そしてあなたも神に造られた尊い存在なんだということの理解なしには解決できないのです。
ぜひ、あなた自身の価値を知っていただきたいのです。
あなたがモラハラをしているということは、あなたは自分の心の中で自分の価値を認めていないということなのです。
あなたは神様の前に尊い存在です。
パフォーマンスに関わらず、です。
そしてあなたのパートナーも尊い存在なのです。
それが本当に腹落ちした時に、あなたの価値観が変わり、あなたの心が変わり、あなたの口から出てくる、心から出てくる言葉が変えられていくということなのです。
ぜひ今日この聖書の言葉一つ一つを覚えていただいて、あなた自身の自分に対する見方、そして全ての人に対する見方を変えていただきたいと願っています。
まとめ
モラハラを解決することは大切なことですが、もっと大切なことは、あなた自身が変わるということです。
夫婦の関係を修復するために、あなたご自身が変わることが必要なのです。
モラハラは表面的な言動の問題ではなく、「人間とは何か」という根本的な人間観の歪みから生じています。
真の解決は、聖書が教える「すべての人間は神の似姿に造られた尊い存在である」という真実な人間観を受け入れることから始まります。
この価値観の転換こそが、あなたとパートナーの関係を根本から変える力となるのです。
あなたのご夫婦の関係が幸せなものになることを心から願っています。
筆者プロフィール

- ひゅうが よういち
-
夫婦関係修復カウンセラー。
2010年から500組以上の夫婦の相談、離婚の危機にあるご夫婦のカウンセリングを手がける。聖書を基盤とした本質的な夫婦関係修復法を提供し、多くの夫婦の関係再構築を支援している。
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