
「また妻が怒っている、なんでだろう…」と困っている夫は多いのではないでしょうか。
実は、妻の怒りにははっきりした理由があり、その多くは「助けて」というSOSのサインなのです。
本記事では、夫婦関係修復カウンセラーの立場から、聖書のマルタの物語を通じて妻の怒りの3つの原因を明らかにし、夫婦関係を改善するための具体的な対処法をお伝えします。
妻の怒りを理解することは、夫婦関係を修復する第一歩です。
目次
聖書から学ぶ妻の心理―マルタとマリアの物語に隠されたメッセージ
まず、聖書の中でキレた女性の話を見ていきましょう。
ルカの福音書10章38節から42節には、次のような記述があります。
さて、一行が進んで行くうちに、イエスはある村に入られた。すると、マルタという女の人がイエスを家に迎え入れた。
彼女にはマリアという姉妹がいたが、主の足もとに座って、主のことばに聞き入っていた。
ところが、マルタはいろいろなもてなしのために心が落ち着かず、みもとに来て言った。「主よ、私の姉妹が私だけにもてなしをさせているのを、何ともお思いにならないのですか。私の手伝いをするように、おっしゃってください。」
主は答えられた。「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことを思い煩って、心を乱しています。
しかし、必要なことは一つだけです。マリアはその良いほうを選びました。それが彼女から取り上げられることはありません。」
このストーリーを見てみましょう。
マルタという女性がイエス様とその一行を家に迎え入れました。
もてなしのために彼女は忙しく立ち働いています。
これは、現代の妻たちが家事や子育て、そして仕事で忙しくしている姿と重なります。
一方、彼女の妹マリアはイエス様の足もとに座って、イエス様の言葉に聞き入っていました。
そこでマルタはこのように言うのです。
「私の姉妹が私だけにもてなしをさせているのを、何ともお思いにならないのですか」
この言葉の中に、彼女の心の痛みを見ることができます。
「何とも思わない」「私だけにもてなしをさせている」という表現に注目してください。
マルタは「私だけが大変なの。私の気持ちを分かって。この痛みや辛さを分かってほしい」と訴えているのです。
これは怒りの表現として理解できますが、その裏には深い悲しみがあります。
「私を大切にしてほしい。私がどう感じているのか、それを思いやってほしい」という切ない気持ちがここに現れています。
妻の怒りも全く同じ構造を持っています。
原因① 裏切られた感覚―「私を大切にしてくれる」という約束が破られた時
妻はあなたと結婚する時、この人は私を大切にしてくれるということを信じ、期待して結婚しました。
夫が仕事を優先する、もしくは趣味を優先すると、妻はこのように言います。
「私と仕事とどっちが大事なの」
「私とゴルフとどっちが大事なの」
これは何を意味しているのでしょうか。
妻は「私を優先してほしい。私を一番にしてほしい」と訴えているのです。
この時、夫たちはこのように思います。
「俺は家族のために頑張って働いているんだよ」
「だから土日は休ませてくれよ。リラックスさせてくれよ」
大変な営業の仕事、プレッシャーとノルマに追われながら働いている夫にとって、土日くらいリラックスしたいという気持ちは当然です。
なぜなら、妻を大事に思っているからこそ、それをやっているのです。
しかし、妻が感じることは「私を大事にするって約束してくれたじゃない」なのです。
妻には「私を大事にする」ということがどういうことなのか、明確な期待があります。
マルタの場合はどうだったでしょうか。
彼女には「手伝ってくれる」という期待がありました。
イエス様が自分の気持ちを分かってくれて、妹に「マルタが大変だからあなた手伝ってあげなさい」と言ってくれるという期待があったのです。
この期待が裏切られたからこそ、「何ともお思いにならないんですか?」「私のことを気にかけてくれないんですか?」というアピールになったのです。
原因② 見逃されたサイン―爆発する前に妻が出している3つのSOS
実は、妻が怒りを爆発させる前に、必ずサインがあります。
これは聖書の中には書いてありませんが、容易に予測できることです。
マルタは恐らく、イエス様とマリアのそばを急いで通り過ぎたり、食器をガチャガチャと音を立てたりして、アピールしていたはずです。
妻たちも夫に、怒ったりキレたりする前にサインを出しています。
それは次のような形で現れます。
妻が出す3つのサイン
①沈黙
普段は話しかけてくれるのに、なぜか静かになる。
これは「嵐の前の静けさ」と言えるかもしれません。
②イライラ・不機嫌のサイン
あからさまにイライラを表現したり、笑顔がなくなったり、顔つきが硬くなったりします。
③会話の減少
話しかけても、そっけない返事しか返ってこなくなります。
しかし、夫たちがこれらのサインに気づかないことはよくあります。
すると妻はどう感じるでしょうか。
「私がこのサインを出しているのに分からないの?」
「私が一生懸命サインを出しているのに気づいてくれないということは、私のことを本当にどうでもいいと思っているんだな」
「私のことを当たり前だと思っているんだな。やって当然と思っているんだな」
このようにフラストレーションがだんだん溜まっていきます。
例えば、野球でサインのやり取りがありますね。
サインを無視されたらショックではないでしょうか。
カーブを投げろとサインしたのに、シュートを投げてきたら、キャッチャーとしてはたまりません。
妻の不機嫌、会話の減少、沈黙というのは、まさにサインなのです。
だから、それをしっかりとピックアップして受け止めてあげる必要があります。
それに対して反応してあげる必要があるのです。
それがないと、妻の不機嫌な状態が続きます。
「なんか機嫌悪いな」「表情が硬いな」「挨拶しても返ってこない」「体調が悪いのかな」
そのままにしておくと、どうなるでしょうか。
原因③ 限界のSOS―怒りは攻撃ではなく「助けて」の叫び
サインが見逃され続けると、ある時に爆発します。
ちょうど水が溢れるように、しきい値を超えるように、コップの中に水がだんだん溜まっていって溢れ出るように、怒りはある程度のフラストレーションが溜まった時に表出するのです。
マルタがイエス様のもとに来て訴えたように、妻も夫に訴えます。
「もういい加減にしてよ」
「いつも私が子育てやっているじゃない」
「家事、私しかやってないじゃない」
「あなたいつも私のこと放っとくじゃない」
この時、夫たちはどう感じるでしょうか。
すごく責められている、ダメ出しされていると感じます。
すると、
「いや、俺だってこれやっているじゃん」
「俺だってこの仕事大変なんだよ」
と自分を正当化しようとします。
そうなると、お互いに攻撃のような形になって、お互いを突っぱねている状態になります。
しかし、妻がやっていることは、実は「助けて」と言っているのです。
「私は苦しいの。このままだと私はあなたを嫌いになってしまうかもしれない。このままだと一緒に生活できない。大切にしないとこの関係は壊れちゃうよ」というSOSなのです。
これは119番に電話して「救急車お願いします」と言っている状態と同じです。
しかし、夫たちはそれすらも間違ったとらえ方をしてしまって、「なんだよ」と突っぱねてしまうことがあります。
妻の怒りの3つの原因まとめ
- 裏切られた感覚(期待が裏切られている)
- サインを見逃された寂しさ(苦しんでいるサインを見逃される)
- 限界に達したSOS(それが続くと限界に達してキレる、怒るという形でSOSを出す)
妻の怒りは「私の気持ちを分かってほしい」「私のことを何とも思わないという状態から、私のことを大切に思うようになってほしい」「助けてほしい」というサインなのです。
解決のヒント―NG反応とOK反応、火に油を注がない方法
ここで、イエス様の答えから非常に多くを学ぶことができます。
イエス様はこのように答えられました。
「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことを思い煩って、心を乱しています。」
イエス様は彼女の心を受け止めています。
「確かに色々大変だったよね」と言ってあげているのです。
しかも「マルタ、マルタ」と名前を二回呼んでいます。
イエス様が名前を二回呼ぶシーンは聖書の中で何回か出てきます。「シモン、シモン」と言う場面もあります。
これは相手の心を受け止めている表現だと理解することができます。
NG反応―火に油を注ぐ最悪のパターン
相手の怒りがいかに間違っているかを説き伏せようとすること
これは火に油を注ぐことになります。
最悪の場合は離婚という方向に進んでしまいます。
このような状態になった方が、私のカウンセリングに相談に来られます。
OK反応―関係を修復する唯一の方法
どうすればいいのでしょうか。
「ごめんね」「気づかなくてごめんね」と言うことです。
「君の辛かったこと気づかなくてごめんね。辛かったよね」と伝えることです。
もう一度、大事なことなので繰り返します。
相手の心、相手の傷ついた気持ちを受け止めてあげるということです。
突っぱねないということです。
そこから、私たちが大事にしなければならないのは何だったのかというところに進むのです。
イエス様はその後、このように言われました。
「しかし、必要なことは一つだけです。マリアはその良いほうを選びました。それが彼女から取り上げられることはありません。」
これはどういう意味でしょうか。
マルタがイエス様を家に迎え入れたのは、もてなしをしながらイエス様と話し合い、イエス様の話を聞くためでした。
しかし、マルタはもてなしのことで頭がいっぱいになって、心が乱れていたのです。
これを夫婦関係に当てはめると、こうなります。
「僕たちは愛し合うために結婚したんだよね」
「僕は君を愛せなかった。だから僕はもっと君を愛する人に変わっていくよ。君の気持ちが分かる人に変わっていくよ」
聖書には「必要なことは一つだけだ」と書かれています。
これは神の言葉を聞くことだというイエス様の教えですが、夫婦関係で一番大切なことは、どちらが正しいかではありません。
お互いの必要を満たし合うことなのです。
妻の怒りは、満たされていなかった、だから苦しいという切ないSOSです。
それを夫がこれから受け止めていくということを伝えてあげ、受け止めてあげることが解決策になります。
まとめ―妻の怒りを理解し、夫婦関係を修復するために
妻の怒りの原因は、3つに分解できます。
- 裏切られた感覚(期待が裏切られている)
- サインを見逃された寂しさ(苦しんでいるサインを見逃される)
- 限界に達したSOS(限界に達してSOSを出している)
妻のこのSOS、このサインを受け止めてあげて、彼女を大切にしてあげる、気持ちを受け止めてあげることが解決策です。
妻の怒りの原因が分かることは大事ですが、夫婦関係を本当に修復したいのであれば、あなた自身が妻を愛する人に変わる必要があります。
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筆者プロフィール

- ひゅうが よういち
-
夫婦関係修復カウンセラー。
2010年から500組以上の夫婦の相談、離婚の危機にあるご夫婦のカウンセリングを手がける。聖書を基盤とした本質的な夫婦関係修復法を提供し、多くの夫婦の関係再構築を支援している。
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