
離婚が避けられない状態になってしまった男性クライアントのためにこの記事を書いています。
どうしたら離婚した後に復縁できるでしょうか。
その答えは「できるだけ信頼関係を回復して離婚すること」です。
離婚した夫婦の復縁はあり得るのか?
「離婚は避けられないけれど、できれば離婚した後、復縁したい」と言われる夫婦カウンセリングの相談者、クライアントさんがおられます。
おくさん、だんなさんをまだ愛しているのです。
一緒にこれからも一緒に生きていきたいと願っておられる方々です。
「もう一緒にいられない。」「離婚したい。」とまで思われてしまった相手と、もう一度やり直すことなどできるのでしょうか。
答えは「はい。可能です。前例があります。」ということになります。
しかし、言うまでもないことですが、可能性は低いです。
それが厳しいけれど現実です。
離婚した夫婦が復縁するためのプロセスとは?
夫婦関係に限らず、あらゆる人間関係は時間をかけて構築され、また衰えていきます。
始まりがあって、過程があり、終わりがあるわけです。
夫婦の関係で言えば、出会いがあり、信頼関係が構築され、愛へと発展し、結婚生活へと入っていきます。
結婚の時点でお互いに相手と助け合える信頼関係を構築できていれば、その関係を育てていく過程に入っていくのです。
離婚する夫婦というのは、結婚後、信頼関係を育てるのではなく、損なってしまったのです。
そして、信頼関係が破綻してしまったので離婚にいたったわけです。
そういった意味では、離婚後の復縁は、この失われた信頼関係をマイナスの状態からプラスの状態にする、時間をかけて行うプロセスだということができます。
信頼関係というのは銀行の残高と似ています。
銀行にお金を入れれば残高は増えていきます。引き出せば減っていきます。
多くの銀行は口座開設の時にある程度のマイナスまでは引き出せるような設定になっています。
しかし、ある一定の額以上のマイナスになると、それ以上は借りることができません。
離婚した夫婦というのは残高がマイナスになってしまい、凍結されてしまった銀行口座のようなものだと言えます。
少しずつ借り入れを返済し、口座の残高のプラスを積み上げていくように、時間をかけた信頼関係回復のプロセスが必要になります。
一攫千金による手っ取り早い逆転劇というものをねらうのでははありません。
忍耐強く、できることを続けることによる、時間をかけた信頼関係の回復を目指すのです。
離婚後の復縁の可能性をなくす言行不一致
人と人との信頼関係を損なうものはなんでしょうか。
それは「約束を破ること」または「期待を裏切ること」です。
私たちは日々、言語化されるかされないかにかかわらず、約束や期待に基づいて関係を持っています。
男性のクライアントにわかりやすいようにビジネスを例えにしてお話ししてみましょう。
私はサラリーマン時代、営業をしていました。
ある新規のお客さんに機械を販売しました。
このお客さんに何度も訪問して、とても親しくなりました。
親分肌の方で、親しくなると私のことを「陽一」と下の名前で呼ぶようになりました。
お昼ご飯をごちそうしてくれたり、商談の時に事務所ではなく家に呼んでくれたり、とてもよくしてくれました。
ある時、そのお客さんに販売した機械が壊れました。
その修理代が非常に高額になることがわかり、そのお客さんは激怒しました。
きっと「こんなに良くしてやってるのに、他の客と同じように自分を扱うのか!」という思いだったのでしょう。
自営業であればここで値下げできるのですが、サラリーマンの悲しさで、このお客さんを特別扱いすることができません。
このお客さんは電話に出てくれなくなり、訪問しても無視されるようになりました。
何が起こっていたのかと考えると、彼の「こんなに良くしてやってるんだから、あいつも俺のことを特別にしてくれるだろう。」という期待を裏切ってしまっていたわけです。
もう少し突っ込んで言えば普段は親しくしているのに、ことお金のこと、ビジネスのことになると冷たい恩知らず、言行不一致ということになります。
このように、期待を裏切ることは関係を損なってしまいます。
離婚に至る夫婦の関係はこのような期待に対する裏切り、約束を破ってしまうことの連続の結果だということができます。
そういう意味で、なんとしても避けなければならないことは、さらに相手の期待を裏切ってしまうような言行不一致です。
離婚に至る過程の中で、信頼を裏切ってしまえば、復縁の可能性をつぶしてしまうことになります。
繰り返しますが、離婚した後に夫婦関係修復を望むのであれば、それはなんとしても避けなければいけません。
復縁する方法はたった一つ、信頼関係の回復
離婚が避けられない状態になってから、離婚に至るまでには決めなければいけないことがたくさんあります。
離婚が決まると夫婦の関係の質は大きく変化します。
今までは一緒に生きていくことが前提でともに生活をしていました。
これからは別々に生きていく準備期間になるわけです。
別の言い方をすれば利害が一致しない関係になるわけです。
ここでとても大切なことは、できる限り信頼関係を回復することを主眼としてこの期間を過ごすことです。
ある意味「後は野となれ山となれ」という風に考える誘惑があります。
もう利害が一致しなくなるわけですから。
しかし「立つ鳥跡を濁さず」という考えもあります。
相手のこれからの人生を最大限負担のない形で歩めるようにサポートするチャンスでもあるのです。
先ほど信頼関係を損なうのは期待を裏切ることだとお伝えしました。
その逆をやっていくのです。
そこで大切なのは言行一致です。
聖書に誠実な人を描写する次のような言葉があります。
詩篇15:4 「損になっても誓ったことは変えない。」
誠実な人は損得で物事を判断しません。
それが正しいかどうかで判断するのです。
だから損になるからと言って前言を撤回することはありません。
このような態度こそ、信頼を得るのです。
先ほどの私の営業マン時代のお話の続きですが、無視され続けても、そのお客さんのところに訪問を続けました。
もう商品は購入くれないだろうなとは思いました。
しかし、私は彼に対して感謝しているし、関係を切りたくなかったのです。
ですから、そのお客さんが事務所にいそうな時間帯を見計らって訪問したり、不在だったら名刺にメモを書いておいて置いたりしました。
そうしたらある日、彼から機械の修理を進めるようにとの電話がかかってきたのです。
とてもうれしくて、私は今回のいきさつを説明し、あやまりました。
そして、それからは以前のように親しい関りが回復していったのです。
私たち人間はみんな心で生きています。
そして、ひとりの人の真心はほかの人を動かすのです。
私はこの経験を通してそれを学びました。
営業マン時代に同じような状況にあって、できる限りのことをしたけれど、最終的に関係が回復しなかったお客さんもいました。
そのお客さんに費やした努力は「損」だったと考えることができるかもしれません。
しかし私は「損」だったかもしれないけれど「無駄」だったとは考えていません。
あれから20年近くたった今でも「損になっても誓ったことは変えない」という言行一致の大切さは身に染みて残っています。
離婚に至るまでに言行一致を貫くことにより、信頼関係は回復していきます。
あくまで相手の利益を図り、自らの損得を第一にしないことがカギなのです。
自分のことだけを考えるなら、前言を撤回して自分に有利に進めることができる状況がたくさんあるでしょう。
この男性クライアントさんもそのような状況にありました。
その中で、私は「どこまでも誠実を貫いてください。」とおすすめしました。
誠実な態度で事に当たるとき、短期的には「損だな」と思うことは多くあると思います。
しかし、長期的には誠実な人は信頼を得ます。
そうすれば復縁の可能性を残して離婚に至ることができるようになります。
筆者プロフィール
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27歳の時、婚約者との擦れ違いを解決できず結婚目前で婚約解消。
その後、この婚約解消の二の舞を踏まぬよう男女関係や夫婦関係修復の法則を聖書から学ぶように。
2010年、夫婦関係修復カウンセラーとして独立。延べ1,000人以上の夫婦をカウンセリングし離婚危機から救う。
現在は、妻に惚れこむ二児の父。
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